審査総評 和太守卑良先生 
今まで例えば登窯で焼かれた大物があって、陶器の世界では多少の技術の問題があっても窯で非常にいい焼きがあったら、それが賞をとってしまうところがあるけれど、今回はそれがなかったので逆に皆さんの日常作っているものがフラットな感じでよく拝見できた。こういう世界だとプロとアマの世界があるが、皆さんの作品を見ていると玄人と素人とは絶対に上下じゃなく、完全に横に並んでいる感じがします。素人の方がやろうとしてできない技術的な問題もあると思う。ところが玄人がどうしてもできないものがあります。全体としてはプロにはできないアマチュアの素晴らしさということが、やっぱり点(賞)をとったという気がしますし、その方向がこの教室の力というものを今後も作っていって下さるんじゃないか。


田向章子  「再び、パステルで…」
42.5×11.5×27.0
「これはプロがどうやってもこういう世界に持っていけないものだと思う。これはプロと全く違う世界で、玄人と対立した形での非常にいい世界を見つけている仕事です。パステルで描いている所の後ろにどーんと織部を持ってきた。これが非常に効果的で新鮮です。」

選者評


タタラで作った粘土板を何枚か貼り付けてシャープな線が出る形に凝っています。そこに何面かをパステルで絵を描きマットな感じに、他の面は艶のでる釉薬をかけて制作しております。粘土板を全部貼り付けてから、パステルで絵を描く面だけ白化粧をしますと、つなぎ目が剥がれてきます。そこで今回は、パステルの面を本体から離して付けてみました。又、いつも艶黒釉をかけることが多かったのですが、織部釉をかけました。パステルの色がどうしても薄くなりがちですので全体がぼんやりしてしまうのではと思いましたが、うまくマッチしました。土の性質を良く解らないまま“まずデザインありき”で制作しておりますので、先生方に御迷惑をかけてしまうことが多々ありますが、暖かく見守って下さり、アドバイスしていただけるので感謝しております。

田向章子



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鈴木高伸
「彩響詩」
24.5×9.5

許斐順子
「葡萄文飾皿」
40.0×6.5

長山一夫
「穴子の寝床」
26.0×8.5×3.5

 

清野幸子
「水指」
18.0×13.0


篠田和喜子
「ノクターン」
41.5×7.0

 

川瀬京子
「葉片々」
34.0×25.5×1.0


阪田邦彦
「紫陽花土俵」
土俵35.5×3.0
16.0×11.0

 作品サイズの単位はすべてcmです。



  

 中林慶子  「夕陽」

 (敬称略)





 

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