23回目にあたる春季登窯焼成は、スタッフ5名の他に7名の会員方々の参加で行われた。 2日半に渡る窯詰めの後、火入れ式。あぶりから素焼きへと大口焼成は順調に進んだ。途中、会員諸氏も熱さに耐えながら薪くべに挑戦。くべ口から見える 炎に包まれたご自作に驚嘆の声を上げる方もいらした。1300度近い温度域で素地土は熟成し、ここからが正念場。たまったオキをコントロール良く飛ばす。何度も繰り返すうち作品に降りかかる灰は厚みを増し、やがて素地土と反応しビードロ釉の様相を表わす。アルカリ蒸気が黄ノ瀬土の緋色を引き出し、オキに埋まったコゲが加わり、薪窯独特の作品が生まれた。焼成は次室へと移る。キミツ室には、耐火度の低い赤土を使用。大口からの炎が十分に作品を焼き締めている。さらに大量 に投入した炭が複雑な窯変を与えてくれた。3・4室は、桃山陶・高麗茶碗・天目 等、様々な施釉作品群。煙突のダンパー操作により、炎の流れをコントロール。作品に合わせ微妙な温度差、雰囲気を作っていく。ゼーゲルと色見により釉の溶け具合を確認。次室へ移る。当登窯の織部は、還元の色合いを持った重厚さが特徴。5室は余熱を利用した低火度のテラコッタ風作品。明るく楽しい雰囲気の森の楽隊や植木鉢が並んだ。火入れから3昼夜、約80時間の焼成。火を落した後も満天の星空に包まれ、未燃焼ガスによる窯鳴りは響き続けた。
竹田精一郎






このページのトップへ




日本陶芸倶楽部
Copyright 2001 Nippon Tougei Club. All rights reserved.