ギャラリー 2012年 2月度
山梨県の清春芸術村内にある日本陶芸倶楽部の登窯は5袋からなり、部屋ごとに異なるやきものが焼けるようになっています。
1室目は信楽・伊賀などの灰被り焼締の作品、2室目は志野専用、3室目は炭による窯変を狙った備前風の作品を焼きます。
4室目には黄瀬戸・織部・萩などの和物と、高麗物数々など、施釉された作品。5室目はテラコッタなど、低い温度で焼く作品が入ります。
儘田久美子「灰被蓋付壺」 径30.0×高26.0cm
蓋を別にし、壺本体を横にして焼成。富士山の貼り付けがある正面は横に灰が流れ、後ろで支えた目土の跡が 山にかかる月のように、力強くも情緒のある作品となりました。
「志野花入」
奥 北村栄子 径18.0×高24.0cm
手前 松岡 浩 縦12.0×横18.0×高16.0cm
奥の花入は1室目での焼成。赤松の灰を被り、本来の志野釉の白と緋色に加え複雑な色合いになりました。
手前の花入は、志野専用の部屋で灰が被らないよう匣に詰めて焼成。釉の薄い所に赤味がでており、釉下に施した泥彩の色と共に変化のある仕上がりとなりました。
炭窯変室では、焼成の最後に投入する木炭による窯変が随所に現れ、予想を超えて魅力的に焼き上がります。
松浦清人 「焼締縄文土器倣」
縦24.0×横24.0×高30.0cm
左 竹谷嘉彦 「織部志野市松文角皿」 径25.0×高2.0cm
右 松本ヱミ子 「織部志野富士遠望図角皿」 径25.0×高2.0cm
本来、酸化焔で焼かれる織部釉と 還元焔で焼かれる志野釉を組み合わせた、登窯ならではの焼成が新しい表現へとつながりました。
繭山和子 「灰被長頸壺」
径13.5×高25.0cm
1室目で長時間炎の中にあった花入は、下部が熾に埋もれ 黒く重厚な雰囲気に、上部は灰がたっぷりと掛かり 流れた痕が素晴らしい景色となりました。
和氣洋美 「信楽石はぜ壺」 径35.0×高36.0cm
口元から肩に降り掛かった灰と、荒々しい石はぜが程よく調和し、
品の良い景色となりました。
和氣典二 「黄瀬戸片口・ぐい呑」
片口 縦10.0×横16.0×高6.0cm
ぐい呑 径7.0×高4.0cm
第灰被長頸壺の施釉もの、黄瀬戸は艶消し。釉肌が油揚げの肌合いと似ていることから油揚手と言われています。
吉田洋子 「テラコッタ植木鉢」
縦17.0×横39.0×高15.0cm
テラコッタの植木鉢は、登窯最後尾の部屋で焼成。3匹の蟹が愛らしい作品です。
ミニギャラリー情報
日比谷ミニギャラリー
このページで紹介している作品をはじめ 当倶楽部会員の制作した作品を 毎月入れ替え展示しています。
- 場所:
- 地下鉄 日比谷駅 A5出口 階段途中
東京都千代田区有楽町1-5-2 東宝ツインタワービル