ミニギャラリー 2020年 3月度
冷却還元は、焚き上げ後 窯内の温度が降下していく間もバーナーの炎を消さずに還元雰囲気をキープする焼成方法で、還元落としとも呼ばれます。冷却初期の酸化への戻りが無いため、釉薬によっては通常の還元焔焼成作品と異なる発色が期待できます。倶楽部では電気窯焼成で、電熱線保護のため1250℃の練らし時は一旦酸化焔焼成に戻し、その後再度炎を入れて900℃に下がるまで続けます。
山内薗子 「トルコブルー釉鎬碗」 径11.0 高8.0 cm
酸化焔焼成ではマット気味の青釉ですが、釉に含まれる銅成分が部分的に還元変化し、ドラマティックな発色になりました。
中嶋賢治 「飴天目釉平鉢」
径20.5 高4.5 cm
明るい飴釉の発色は、冷却還元によって暗い緑味が加わり、落ち着いた美しさが増しています。
旭 栄彰 「鈞窯釉四方台盤」
径19.0×19.0 高5.5 cm
鈞窯釉は、通常の還元焔焼成よりも青味が明るくなりました。
藤堂路代 「鈞窯釉マグカップ」
径12.0×9.0 高8.5 cm
揮発しやすい銅を含む釉作品の近くに置き、敢えて自然な色移りを狙いました。
松本伸一 「鈞窯釉紅斑花瓶」
径12.5 高24.5 cm
素焼後にタンパン(水溶性銅絵具)を塗り 釉を掛け、紅斑を出しました。
高橋栄子 「鈞窯釉貝形小皿」
径11.5×11.0 高2.5 cm
こちらは釉を掛けた後、部分的に銅を含んだ織部釉を薄く吹き付け、赤味を出しました。
左 髙梨ふじ子 「柿天目釉ぐい呑」
径7.5 高3.5 cm
右 石倉充之 「柿天目釉小花入」
径7.0 高7.5 cm
普段の還元焔焼成では茶褐色の鉄釉ですが、含鉄土石の微量な金属類の影響なのか、予想もしないメタリックな輝きが生まれました。
森 年子 「クロームピンク釉鉢」
径19.0 高6.5 cm
酸化焔では赤紫、還元焔では紫味のある暗い錆色となる釉薬。原料のクロムの多様な発色効果が実感できる焼き上がりです。
高倉史雄 「斑唐津釉そば猪口」
径9.0 高5.5 cm
和風な乳濁が特徴の藁灰系白釉には、柔らかな茶色味が加わりました。
石倉充之「釉研伊羅保釉小花入」
径7.0 高5.0 cm
黄褐色の伊羅保釉は、冷却還元で青伊羅保に変身です。