ミニギャラリー 2022年 9月・10月
泥漿状の化粧土による加飾技法。水を加えゆるく溶いた化粧土をスリップと呼びます。
スリップを使った技法は世界各国にありますが、日本で「スリップウェア」というと
民芸運動の中で注目された、イギリスで17世紀以降に作られた日用の器がその原点とされます。
やわらかい板状の赤土に白化粧土を流し掛けた上に、三つ口のスポイトで黒化粧土を絞り、文様に。口の角度により、3本の線が均一な幅で平行になったり、重なったりします。巧みな
スポイト使いできれいな平行線と折り返しの部分の変化を生かした文様になりました。
榊原花「楕円鉢」 径25.5×17.0 高5.0cm
やわらかい土に白化粧土で描いた文様は、スポイトを素早く動かすことで細い線になり、ゆっくり引くと太くなります。
相良多恵子「丸皿 一対」 径17.0×17.0 高3.0cm
武田茂子「角皿」 径21.0×18.0 高2.5cm
ロクロ成形の皿や板状の土を組合せた花入れなど半乾燥の素地にスリップで装飾をすると、スリップは盛り上がった線になり、文様もはっきりと出ます。
根本より子「丸皿 3枚」 径14.0×14.0高2.5cm
中村幸子「板合花瓶」
径11.0×11.0 高27.0cm
黒化粧土を掛けた上に白化粧を線状に絞り出し、乾かないうちに垂直に櫛などで線を引くことで線文様が動きます。
鉢の見込の鳥はイッチン盛です。
大国成子「丸小皿 5枚」 径11.0×11.0 高1.5cm>
木谷百合子「鳥葡萄文鉢」径20.5×20.5 高4.0cm
富士山を思わせる山は、化粧土を柄杓で流し掛け、スポイトで雲のように線を引き、櫛で模様を入れました。白黒を替えて一対に。
高見澤宗弘「山文皿 一対」左 径16.0×16.0 高2.0cm
右 径17.0×17.0 高3.0cm
白化粧土を流し掛けた上に色化粧土をスポイトで垂らし色化粧土の点を、繋げるように櫛で線を引くと、糸でつながったような文様に。
抽象画の様な軽やかな印象に。
峯村英二「丸皿 2枚」 径18.0×18.0 高1.0cm
安西美津子「長角皿 2枚」 径24.5×11.0 高2.5cm