陶芸を始めたきっかけ 音響メーカーで新製品開発の仕事をしていてそれなりに面白かったが、以前から絵に興味があり会社を辞めた。その折、会社の先輩から小布施に「奥信濃焼」という陶器を作っている人がいて、先輩の同級生が修業をしていると聞き遊びに行ってみた。地元の畑の黄褐色の土を使い成形し、リンゴの木の灰を加えた釉を掛けて焼き上げる陶器を初めて見て、面白いものだと思った。その後ロクロを体験し、焼き上がった自作の湯呑に不思議な感動を覚えた。それまで磁器の食器しか使ったことがなかったので、素朴で温かみがあり形が自由な陶器に魅力を感じた。また自分には平面より立体の方が向いているかもしれないと思った。2~3日のつもりが結局1年になり、陶芸の魅力に益々引き込まれた。
青瓷との出会い もともとやきものの肌合いや釉薬の色に対する興味は強かった。その陶肌やなんともいえない生命感のある歪みに魅力を感じて粉引や刷毛目等を作るようになった。だがその歪みを自分で作り出そうとすると作為が目についていやらしく思え、李朝の作風は自分に向いていないのではと思った。そんな時に粉青瓷に出会った。青瓷の場合、形はもちろんそれ以前に釉の色と肌が大事にされる。青瓷ならば…、それからが新しい挑戦の始まりとなった。
造形へのこだわり まず釉薬があり、それをどう活かすか。その方法として鎬・瓜・面取等を使った壺や花生を多く作った。その後、香炉を作るようになったが、「青瓷は薄く軽く作る」という陶芸界の通説により、思った形ができなかった。鎬香炉を作ろうと思うと腰の部分が垂れて思うような形にならない。 そこで、解決策として厚く作ることにした。青瓷の常識に反して一番楽な方法だった。これが上手くいき、その後次々と無理そうな形もできるようになった。植物・動物・建築・ファッション・自然等、すべてから着想する。そして造形に限らず、常識にとらわれないことを心掛けている。
新作について 釉薬のテストは一年中やっている。以前から米色瓷・翠瓷・青瓷等、土と釉・焼成の組み合わせを絶えず試している。そのテストの中から出てきたものから新しい釉を作る。目標を定めてテストを繰り返す。今はブルーの青瓷のテストに取り組んでいる。土・釉・焼成・デザインの交差点が作品。見れば見る程、美しく感動する気持ちの良い釉を作る。一日中見ていても飽きないような、その釉を活かせる形。
今後について これまでと同じだが、今までにない青瓷、「この手の青瓷はなかったよね」というようなものを形も含めて作りたい。そして日本だけでなく、外国の方にももっと見てもらえる機会を増やしたい。
2015年9月23日(水) | ~9月29日(火) | 横浜高島屋 7階美術画廊 |
2016年4月27日(水) | 5月 3日(火) | 西武池袋本店 アートフォーラム |
6月 9日(木) | ~6月12日(日) | 東京高輪会 会場:品川プリンスホテル |