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2018年10月2日

陶芸家ご紹介⑪


見附正康先生(MASAYASU MITSUKE)
見附正康先生(MASAYASU MITSUKE)九谷焼の伝統技法の一つである「赤絵細描」。小紋・花鳥風月・人物等が描かれた作品が多い中、見附先生のそれは幾何学的な直線や、教会のドーム天井やアラベスクから着想された文様で構成され、器の形とも相まって現代的です。艶を抑えた落ち着いた赤、アクセントとなるほんの少しの水色、彩りの金、モダンでありながら品格も備えている見附先生の作品は、現在入手困難なほどの人気を博しています。
見附正康先生(MASAYASU MITSUKE)
見附先生からアマチュア陶芸家へのエール
僕は赤絵の細密技法の基礎を習得出来た事により、色々と挑戦出来、自分なりの作風が出来たように思っております。 皆様も是非自分の好きな事を極める思いで頑張って頂けたらと思います。

見附正康先生
1975年、石川県加賀市生まれ。
1997年石川県九谷焼技術研修所卒業後、赤絵細描を現代に蘇らせた第一人者 福島武山氏に師事。2007年に独立。国内外の展覧会に出展。 経済産業大臣指定工芸士。(以下、先生に伺ったお話しの抜粋です。)
小さい頃から絵を描くのが大好きで、また幼稚園の頃 自分から言いだし習字を習い筆に慣れ親しんでいました。 陶芸に興味があった訳ではないのですが、進路を決める時、父親に九谷焼技術研修所のことを聞き見学に行きました。全て美術のような授業をみて、いいなぁと思いました。研修所では3年間、ロクロ成形等やきもの全般を学び、その中で福島武山先生が指導する赤絵細描と出会いました。とにかく細かく描く作業が好きでこの道に…。
見附正康先生 福島先生の所は内弟子に女性しか採用しないとのことで、卒業後 外弟子となり週2回通って10年間修業しました。その間、九谷焼ショップでの販売や絵付コーナーのアルバイトを…。そこで現在素地を作ってもらっている西田健二さんと出会いました。この間は、正直不安もありましたが、親の理解があったからこそと感謝しています。
2005年の年末、松屋銀座で「華麗なる吉田屋展」が行われた時に実演をしました。その 担当をされていた方が、家庭画報の色絵陶磁器特集の一人に僕を選んで下さり、そしてその 記事がオオタファインアーツ(ギャラリー)の大田さんの目に留まり、海外でアート作品とし て発表されるきっかけとなりました。また昨年は「紋紗」の重要無形文化財保持者の土屋順紀先生のご縁でガラス作家の山本茜さんと出会い、富山で三人展を行いました。こう思い返すと人の縁はすごいなと感じ、出会いはとても大切だと思います。
見附正康先生作品の形は簡単なデザイン画で雰囲気を伝え、作ってもらっています。好きなのはやっぱり描く作業。どんな線でも。頭の中にあったものが絵になっていくのが好き。
見附正康先生細描にはイタチの毛の筆を二種類、直線用(写真右)と曲線用(写真左)で使い分けています。筆の周りの毛をさらにカットすることもあります。 作家さんは皆それぞれ好みに合わせて赤を調合していると思います。 私は艶のない落ち着いた赤を。膠の濃さ、摺り具合が大切で、調子が悪い時には摺り直しています。
文様は海外のもの等が好きです。本も見るし、建物も好きで、柱とか細かい部分に目が行きます。家具の細部や女性の服の柄にも。そういう中から頭の中に図案を描いていきます。スケッチは殆どしません。自分がキレイだと思うもの、好きなものを選んで図柄にしていくので、感性を磨かなくては。同時に伝統的な赤絵細描の文様そのものではなく、品格、美しさを残すように心掛けています。
見附正康先生下描きは鉛筆や墨で当たりをつける程度。間隔を計算するのが一番嫌い。定規やコンパスを使いますが、曲面など最終的には自分の目の感覚でバランスをとります。大皿はキャンバス。スマホで撮って構図(遠近)を確認しながら進めます。小さなものも楽しい。一つの作品、一部分を描いては焼く。ぐい呑でも5回位は焼きます。
同じ絵柄はやりません。似たようなものでも少し変えます。 お客様が同じものだとがっかりするのでは…と考えます。
今年の2月の大雪の時、雪掻きをしたら、その後は手が震えて仕事になりませんでした。 同様の理由で、昔やっていたテニスも封印しました。 時間を見つけて好きな作家さんの展覧会や美術館等、いろいろ観に出かけます。刺激を受けるし、キレイな形、造形の作家さんのものを観るのがより好きです。 またこの仕事を始めてから習い始めた茶道も気分転換になります。 先日お茶名もいただきました。
見附正康先生点と線の世界。「赤」でなければ(汚くなり)ここまで描き込めないと思います。 お客様に、今回はこんな風になったとか、変わった 進化したとか、見続けていただけるようにこの仕事を続けていきたい。 沢山作るより、いいものを残していきたいです。
オリジナル×伝統の美しさ=品。品が生まれる作品ができたらいいな。
見附正康先生 展覧会情報
2019年2月15日(金)~24日(日) 「陶の表現 四人展」(仮) 銀座和光ホール
2018年秋、「第35回 日本陶芸倶楽部アマチュア作品展」の審査員及び講演会講師を務めていただきます。
 
 
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