1958 | 三重県伊賀市に谷本光生を父として生まれる。 | |
1984 | 渡仏。パリにてデッサン・油絵を学ぶ。 造形作家J・Gアルチガスの助手となる。 | |
1988 | 独立。伊賀に谷本洋陶房を開く。 以後、バルセロナでの作陶・個展開催、ニューヨークパリ等で個展・ワークショップ開催と海外でも活躍。 | |
2022~23 | 作陶40周年記念として全国の百貨店で個展巡回開催。 |
桃山時代、古田織部好みの水指や花入などが数多く焼かれた伊賀の地。
永く途絶えていた その茶陶伊賀焼の復興に尽力した陶芸家 谷本光生(1916~2012)のご子息として生まれた谷本洋先生は、幼少の頃から陶芸に接し、小学生時代から窯焚きを手伝っていたそうです。
その後京都の専門校にて陶技を学ばれ、作品発表を始めながらも一転絵画を学びにフランスへ向かいます。そしてそんな中ジョアン・ミロと共同制作で陶芸作品を制作していたスペインの造形作家 J・G・アルチガス氏と出会い、そのアシスタントとしてバルセロナに渡ることになったのです。
濱田庄司設計の登窯「MASHIKO」を用いて独創的な制作を行っていた師との生活の中で多くの影響を受けた先生は、帰国し伊賀にて独立後も毎年バルセロナでの制作を続け、スペインを始めイギリスやアメリカ、フランスにも活動を広げていきました。スペインのアルチガス工房には登窯「MASHIKO」の横に谷本先生が設計した穴窯「IGA」も並んでいるそうです。
伊賀焼の魅力である破調の造形に加え、窯内で生まれる自然釉の流れと土の火色が織りなす幽玄な景色を特徴とする先生の作品ですが、一方で道具としての手取り、口当たりといった扱いやすさや、空間との調和への意識にも先生ならではの人間性が感じられます。
また古伊賀の形から離れた「風の音」シリーズでは、著名な産地、師との関係性において「守破離」を体現し、新たな伊賀焼の世界を切り開いています。
人との様々な出会いや体験を大事になさっている谷本洋先生。 10月29日(日) 「作為と無作為の界」をテーマに、実際に 何点かの作品を拝見しながらお話を伺います。