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2018年8月29日

陶芸家ご紹介⑩


和田 的先生(AKIRA WADA)
和田 的先生(AKIRA WADA)本体はもちろん 蓋のつまみにいたるまで、ロクロで挽いた分厚い筒を彫り出して作られている和田先生の作品はまさに彫刻といえます。線と面で構成されたシャープで端正な造形は、「光と影」「明と暗」「白と黒」さらには「生と死」、表裏一体でどこかで交わっている…という先生の想いが強く反映されています。エッジの効いた直線や曲線の、陶土にはできない磁土ならではの表現で、これまでにない新しい作品を展開されています。
和田 的先生(AKIRA WADA)
「表裏」
和田先生からアマチュア陶芸家へのエール
表現には様々な方向性と、具現化するための多様な技法があると思います。 私の場合、「陰影の世界」と「彫ること」に出会えたお陰で今まで続けてくることができました。 好きな表現方法や技法を追求することで、独自の作品が生まれるのではないかと思っています。
1978年、千葉県生まれ。2001 年文化学院陶磁科卒業後、上瀧勝治氏に師事。2005年に27歳で独立し、日本工芸会正会員に認定。様々な公募展で、数々の賞を受賞。
(以下、先生に伺ったお話しの抜粋です。)
高校時代に一生を通して追及できる仕事に就きたいと思い陶芸やガラスなどの分野を模索しました。 その頃上瀧勝治先生の白磁の大壺を見る機会があり、白い作品に興味が湧きました。 彫ることは初めから好きで、彫り進めていくうちに塊から形を掘り出したいと思い、ロクロで厚く挽いた原形を彫るという手法にたどり着きました。 これによりエッジの効いた線や面が表現できます。
「箱でないハコ」
白器大香炉「ようこそ!」
やきものに囲まれている環境ではなかったので、公募展や百貨店、画廊にたくさん通い、作家の方やスタッフの方に話しを聞き、それらがとても勉強になり、また後の作品発表のきっかけともなりました。 師匠の影響もあり、伝統工芸展へ自然と出品するようになりました。秋の工芸展に4回入選すると正会員になれるのですが、3回目の入選を機に、4回目は自分の窯でと思い、独立しました。人それぞれに基礎となるものがあると思いますが、私にとっては器だと思います。
「箱でないハコ」
白器水指「表裏」
白器水指「記憶」
白器「記憶」
様々な展覧会を観るうちに、作家の略歴等で文化庁の海外研修制度があることを知り、応募しました。美術の歴史や人との関わり合いを作品を通じて感じたいと思い、ルーブル、オルセー、ポンピドーと年代を追って観ることができるパリを選びました。パリを拠点にし、スペインのグッケンハイム美術館やオランダへも足を伸ばしました。パリでの研修先には、普段は白という色のない立体を制作しているので、色のある平面を勉強したいと思い、銅版画の工房を選びました。20代の頃に美術全般に触れることができたのは非常に勉強になりました。
作業としては、寒い時期にロクロをまとめて挽き、3~6ヶ月ゆっくり乾燥した後、超硬カンナや彫刻刀で形を彫り出していきます。ロクロを挽く時点で作品のイメージはできていて、 その作品の寸法・厚みを厳密に計算し彫り出せるギリギリの大きさに挽きます。内側はロクロ 目を活かし、外側のみ彫り込んでいきます。この彫りの作業が大好きです。
彫りの工程
彫りの工程
彫りの工程
蓋物のつまみも細めの剣先一本で彫り出します。別に作り貼り付けたりは一切しません。 超硬カンナは剣先、先が丸いもの四角いもの、主に3種類。作りたい形状に合わせて、その都 度特注もしています。一作品仕上げると、一本ダメになる程使うのでストックは沢山。 作品は分厚いこともあり窯での失敗も多く、ハマ・磁土板等の窯道具のサイズ・精度が重要。これらも必要に応じて自分で作り、窯の焚き方も工夫しています。 自分の作品に必要不可欠なのが天草の特級磁土。他の産地のものより粘り、伸びがいい。また彫りでエッジを出しやすいからです。
つまみの原型つまみの原型
つまみの原型
12年位前に花器を作るにあたり考えたことが、花を生けない時にも蓋をするだけでオブジェとなり、常に空間を楽しませるものになりえないかということでした。 この想いが原点となり、蓋付花器が生まれました。現代の多様な生活スタイルの中だからこそ、自分は表現したいものに真摯に向かい、後は鑑賞して下さる方が感じるままに、自由に生活の中で楽しんでいただければと思っています。
彫ることが好きなので、彫刻なども制作しています。素材としては、木や石、FRP(繊維強化プラスチック)やステンレス等も手がけてきました。やきものに拘り過ぎず、表現したいものに合わせて素材を選んでいます。
白器「ダイ/台」
白器「ダイ/台」
粘土の塊から彫り上げる制作では常に困難がつき纏ってきまし たが、少しずつ形になってきている気がします。 彫った線に影が落ちることで、立体として新しい形が見えてく ることが面白く、今後も線一本彫ることで生まれる陰影の世界 を追求し、幅を広げていきたいと思います。
和田的先生(AKIRA WADA)個展情報

和田先生の情報はこちらからご覧いただけます。https://www.akirawada.net

2022年秋「第39回 日本陶芸倶楽部アマチュア作品展」の講演会講師・審査員を務めていただきます。

 
 
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