第32回 日本陶芸倶楽部アマチュア作品展受賞作品一覧
陶芸部門 本年度審査員 峯岸勢晃・滝口和男・小山耕一・外舘和子
(敬称略)
小堺ひとみ
「日本橋老舗 チェス&チェッカー」
盤48.0×48.0×3.5cm
駒 4.0×4.5×12.5cm
(最大)×32ヶ
発想・技術、総てに文句のつけようがない。
滝口和男
日本橋をテーマに作陶を始め10年、「日本橋老舗チェス&チェッカー」で人生節目の年に最優秀賞を受賞できた事は、最高の思い出となりました。ゲームの駒には、日本橋の象徴「擬宝珠」、江戸の風物詩の「纏」(い組の芥子の実と升で「消します」の意)、新しくできた福徳神社の「社と鳥居」、「麒麟の像」と「獅子の像」はキングとクイーンに見立て、更に老舗の屋号を。ゲーム盤の中央には「日本国道路元標」と記しました。これからもアマチュアならではの、楽しいワクワクするような作品を作り続けたいと思います。
小堺ひとみ
熊谷眞知子
「十二支」
17.0×17.0×2.5cm 12枚
金箔の特性をがっちりつかんでいる。ベースの色といい、デザインといい、完成度の高い作品。プロのように箔がもったいないからここを削ろう…ということを全く考えていないところもすごい。
小山耕一
思いがけず賞をいただきました。金箔を使っての講習会で着想を得、書で十二支を書いたりもしておりますので、お正月用に家族それぞれの干支のお皿を作りました。それがきっかけで、十二支を揃えました。
熊谷眞知子
永井静子
「兜器」
15.5×18.0×11.0cm
造形的にまさに破格、ある完成された形。土の力強さ、たくましさという焼締の持っているいい部分を非常によく引き出した造形力のある作品。
外舘和子
この作品は、土を手にした時、その数日前の不快な出来事を思い出し、‘叩いたり’‘ちぎったり’‘引っぱったり’と手荒な成形となりました。しかし、燃え盛る炎の中で昇華され、印象の強い作品になったと思います。改めて、窯の力に驚いております。
永井静子
柴田文子
「黒楽」
13.0×14.5×7.0cm
形がのびのびとして嫌味がない。非常に素直に作られて面白い茶碗だと思う。葉っぱの様にもクジラの様にも色々な見え方をする白い部分(抜き文)の配置も面白い。私の茶碗の判断基準で大事なのは、いい悪いよりも見て面白いということ。
峯岸勢晃
田口葉子
「Bonjour・ボンジュール」
盛鉢24.0×27.0×8.0cm
小鉢12.0×13.5×4.5 5ヶ
質感や模様、ヨーロピアンなお洒落な感覚の持ち主。内側と外側が一体であるという1つの立体物としての面白さを意識しながら作っている。食卓に出された時にどこに座っていても楽しさを感じることができる作品。
外舘和子
「ボンジュール」には、‘出逢う’‘場’‘楽’の意が込められています。今回の作品は、図柄を部分的に用いるために効果的に見えるよう立体感を意識しました。小鉢は表裏に図柄を施し、盛鉢は内側がより見えるように形を歪ませて3ヶ所に図柄を配し、全ての方向から変化する図柄が見えるように工夫。受賞の際、外舘先生が私の意図を評価してくださったことが、何よりの励みと喜びになりました。相手に何かを伝えたいという気持ちを大切に、今後も作品作りをして行きたいと思います。
田口葉子
中村直子
「椅子の上でひと休み」
38.0×40.0×60.0cm
大きいサイズのものに挑戦しようとする意欲をまず評価。薪窯のがっちりした椅子に猫というモチーフを持ってきて、尚且つどうからめるか。猫ののんびりした感じ、穴に入りたがる習性等、椅子の形の中に猫とどういう関係性を作ろうかと一生懸命全体の姿を考えて表現する楽しみを感じた。
外舘和子
5歳になったマルちゃんルナちゃんの初めての立体像。登窯でダイナミックな炎の洗礼を浴びた椅子に、下絵顔料で彩色し本物のヒゲもつけて作り込んだ猫と、どんなコントラストになるかと思いましたが、完成して椅子の上での~んびりひと休みしている二匹に思わず笑みがこぼれました。会場でもそれにつられてか微笑んでくださっている方々を見かけ、作り手としてこれ以上の喜びはありませんでした。
中村直子
長山一夫
「李朝白磁壺型写し 金彩平握り皿」
27.0×24.0×0.5cm 4枚
李朝の白磁壺が平面になっているという発想の豊かさ、発想の原点がプロではほとんど考えられない。それにいたく感動した。その上に金箔が貼ってあるという、李朝の人が見たらびっくりするだろうなという、自ら輝いているという想い(込み)が非常に伝わってくる。
滝口和男
白化粧を生掛けし、面白そうな“抜け”を残して素焼き。“抜け”を伏せ、全面に白い下絵顔料を発色の美しさを祈りながら数回塗り重ねて本焼き。“抜け”に金箔を切り貼ることを目論み試すもあまり面白くなく、予定変更。中心に正方形の金箔をそのまま大胆に貼る。李朝の白磁壺形の平皿にベタ貼りの金箔、その上に握りすしを置くという意外性を狙った魂胆だったが、金箔に超現象的な割れ目が発生、歓喜‼ 今回も又、女神が舞い降りたようだ。
長山一夫
峰村雅子
「旧矢掛脇本陣高草家住宅写し」
16.5×20.5×15.0cm
密度が濃い、重厚さもある感動した作品。屋根等、1つ1つ非常に丁寧に作り込んでいてとても魅力的。焼け具合、色合い、形も、全体の調子が非常によく出ていた。
峯岸勢晃
屋根瓦の成形作業に思ったより手間がかかり、本当ならはき出し窓、格子なども つくりたかったのですが、時間が足りませんでした。しかし登窯のおかげで、素 晴らしい景色になり幸運でした。
峰村雅子
阪本ひろ子
「魚くん」
鉢φ24.5×5.5cm 小皿φ12.5×2.0cm 6枚
鉄絵でささっと楽しそうに描いていて、やきものを楽しんでいる感じが伝わってくる。地に布目があったり、裏にも絵が入れてあったり、タンパンの緑を散らしたりと、バランス感覚がいい。私はやきものが面白そうだと思って研究対象にしたが、それに応えてくれる作品だと思った。
外舘和子
夫の病で一年休学し復帰したばかりでした。布目がきれいに出るだろうとロクロ挽きしてもらった小皿が残っていたので、好きな魚の絵を楽しみながら描きました。作品展は参加することに意義があると粋がっておりましたところ、大皿を付けたらとの先生の言葉。またまた挽いて頂いた大皿に沢山沢山お魚を描きました。良き指導者を得た賜物です。そして陶芸を続けられた事に感謝です。
阪本ひろ子
安倍眞理子
「植木鉢」
13.0×14.0×9.0cm
作品の後ろを通った時に不思議な生き物が描いてありそれと目が合った。それに呼ばれているような気がして前に回ったら、小さな作品だが隅々まで細やかに神経が行き届いていて完璧。あら捜しをしたが、全くなく完璧。参りましたと選んだ。
小山耕一
私は、色化粧土・釉薬・絵の具を使って、細かい絵を描くことが好きです。最近、教室の絵の具の種類が増え、色・濃淡のバリエーションが楽しめるようになり、益々やる気満々ですが、作品作りが遅く、この作品も半年ほどかかりました。これからも「これは安倍さんの作品」とすぐ分かるものを作り続けたいと思っています。
安倍眞理子
日本画部門 本年度審査員 滝沢具幸・宮城 真
(敬称略)
柴田和子
「ヨセフ物語」
38.0×約500.0cm
昔からある絵巻物風、広げると5m位になる。旧約聖書のヨセフ物語、貧乏で牢屋に入れられていたけれども、いろいろな体験をして最後はエジプトの大臣になるまでのぼりつめた人の話。作者は子供たちにこういう話を絵物語風に語りかけたいと作った。努力賞でもある。
宮城 真
誰にでも後になって「あゝ、あの時の苦難(困難)は、今この時のためのものだったのか?」と思うことがあるのかもしれません。旧約聖書創世記(37章~)ヨセフの物語は夢を解くというキーワードを使いながら「神のご計画」を書いています。とても面白い感動的な箇所です。絵巻物にしたら子供たちにお話しするのに楽しいかな?と思って描いてみました。
柴田和子
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