2022年11月28日
第39回日本陶芸倶楽部アマチュア作品展受賞作品一覧
※黒文字は審査講評、黄土色文字は受賞者コメントです。
陶芸部門 本年度審査員 和田的・小山耕一・栗原直子 (敬称略)
池田秀子 「どうぞ めしあがれ」 径15.5高9.0cm 5客
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文様とロクロの技術、すべてが高いレベルでマッチングしている。
和田的
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日常の食卓に「あったらいいな。」というような、主張しすぎず、おしゃれで個性的な食器を作ることを心掛けていますが、私は出来上がりをきちんとイメージするのが苦手で、何時もどうなることやら。素焼き、本焼き、上絵と窯から出てくるたびドキドキしております。今回この様な賞をいただきましたのは、先生方のご指導により、その工程がいい形で繋がったのだと思います。本当に有難うございました。
池田秀子 |
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鶴岡洋平 「五色に宿る命」 径10.5高4.5cm 5点 |
織部という伝統的やきものの約束事の軸足をはずさず、個性を表現し、使いやすいところに納めている。落としどころをよくわきまえた作品。
小山耕一 |
生まれた時から親の言葉を真似て育つ様に、こと伝統芸術に関しては悠久と紡がれた歴史から純然たる創作物は生まれ得ないと思っています。作陶に当たっては先人の轍から踏襲したものを活かし創造性を捻りつつ実用性が効くものを追求してきました。自身が和食屋を営む観点から、何の料理を盛り付けてどう使うか、を〝最終地点"に考えて創造と実用の間を行ったり来たり。故魯山人翁の様に生活習慣全てに芸術を求めるまで行かなくとも、食卓を彩る器はやはり生活をも彩ります。そんな日常に寄り添う心持ちで五色の鉢を作成しました。
鶴岡洋平
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出光昭介 「黒楽茶碗」 径11.0高8.0cm
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たくさんの茶陶の中で、小振りながらその存在感、風格に胸を打たれた。倶楽部設立当初から95歳になられる今日まで、弛まず作陶を続けておられるアマチュア陶芸家としてのキャリアにも敬意を表して。 栗原直子 |
松永安左エ門さんは日本の電力業界を八つに地域別に分割された電力の鬼と言われた方だが、大変芸術に造詣が深く、御自身でも美術品のコレクションをなされ、今は福岡の美術館で展示されている。
日本陶芸倶楽部設立にご尽力いただき、初代会長を務められた松永安左エ門さんの名を頂いた耳庵賞を授与されて誠に光栄に存じます。
出光昭介 |
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繭山和子 「飛青磁からトンボの筆筒」 筆筒径10.5高13.0cm 皿径20.0×高3.0cm
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鉢2点と片口は飛び青磁、トンボが飛び青磁というのはほとんどオヤジギャグの世界。(いままでにも作者の作品を見てきたが)こんなに面白い方とは思っていなかった。そこに感動した。
小山耕一 |
谷川徹三賞の第一回目をいただいたのが私でした。そして今回また、その賞をいただき夢のような気持ちでいっぱいです。不器用な私ですが、四十年間休まず作陶を続け、この先たとえ車椅子になっても、倶楽部に通い土に親しみたいと思っております。
繭山和子
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田代英寿
「蓋つき花生け」 径37.5×12.0高17.0cm
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形と紋様、絵付の質感がほわっと三位一体となって、トータルでマッチングしていて心地良かった。 和田的
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思いがけない賞を頂き、驚きました。六十代半ばで始めた作陶も、早や十年余が過ぎました。炎の力がくれる不思議は、老人にも他にはない大いなる活力になります。しかし昨今は「さて、次は何を作ろうか」と迷う日々でした。これを機にもう一度初心に返って励みたいと思います。ありがとうございました。
田代英寿 |
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武田茂子
「松文様白磁碗」 径9.0高8.0cm
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小さな作品だが、磁器の仕事で必要なことがちゃんと出来ていて、作る人の気持ちがきっちり中に納まっている。 小山耕一
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和田的先生の作陶会で、まず、直線と円の組合せのシンプルな碗を作り、その白磁の白の美しさ、深みがとても気に入ってました。そこに、筒井先生から再チャレンジできるとのお話があり、今度は、自分流の白磁碗が出来ないか、と。そこで、好きな鍋島の松葉文と和田先生の白磁を融合したら、と考えました。彫りの部分に釉薬を象嵌し、他の部分は焼締のままに。結果、様々な白が現れて我ながら面白い作品になったと思いました。今後も、賞を励みに、自分流を探して行きたいと思います。ありがとうございました。 武田茂子
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安倍眞理子
「たくさん絵を描きたいのでお皿とカップ作りました。」
皿径17.0高1.5cm カップ径10.0×9.0高7.5cm 3点
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絵付が好き・色彩が好きな方だというのが作品を見てすぐ理解出来た。さらに作品タイトルを見て妙に納得してしまった。 和田的 |
白化粧掻き落とし技法で色土や絵の具で、絵を描くのが、好きです。何に、描くのかを決めるのが、大変です。色塗りは、集中できて、楽しいです。この作品を見て、家族から「腕を上げたね」と、言われ嬉しかったです。その上、受賞できて、驚いています。
ありがとうございます。
安倍眞理子
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新井三枝子 「階段が好きです!」 左 径5.0高12.0cm 右 径5.5高9.5cm
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小さいながらパワーを感じた。末端まで神経の行き届いた作品。土で創ることが大好きなご自分の気持ちを形にしている作陶姿勢に感動した。 栗原直子 |
何故か階段のある作品に惹かれます。「搭に階段」をテーマに今回の作品を作り始めました。ただただ心を無にし、階段を刻んでいきました。頂上まで来た時、はたと「この先は?」と思い、更に上へと梯子と階段を作り、搭の上に置くことにしました。梯子は小さな作品故に土で作ることは難しく、手芸用のワイヤーで作りました。
この塔の階段を一段一段、昇るように長く長く陶芸倶楽部に通い続けて来ました。そして今回の受賞、大変嬉しく思っています。
新井三枝子
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日本画部門 本年度審査員 滝沢具幸・宮城 真 (敬称略)
宮坂俊夫
「万里小路宣房本 三十六歌仙絵 斎宮女御」 縦133.0×横68.0cm(軸装)
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模写は一流の作品を写していろいろなことを学ぶものだが、技術だけでなく作家の心を思いはかる洞察力が必要になる。長時間をかけて描く中で、その都度発見があったようで勉強になったと思う。 宮城真 |
秋草のごとく 高からず細やかな籬の道に古き友の姿を映しながら 陶芸に励みまた絵画に励む 何ごとか心が満たされるや 一炊の夢の覚めることのなき様 起きもせず休みもせず夜を明かす 寝の言の葉をつぶやき感謝の夢路を歩まん
宮坂俊夫
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