創立45周年を記念した本年の作品展。
ご来場されたお客様には、作品や45周年を振り返った掲示物の鑑賞、
作陶体験や茶席での喫茶をお楽しみいただいた、活気ある2日間となりました。
作品審査は2日目の午後行われ、45周年を記念する15賞が決定しました。 力作揃いで選定は困難を極めました。 |
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平成24年度審査員
(敬称略)
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現代陶芸のルーツ 板谷波山×富本憲吉 | ||
陶家代々の家柄でなく、陶産地でなく、美術学校(現東京芸大)でアカデミックに発想を学び、東京に工房を持つ個人陶芸作家、現代陶芸のルーツ。 板谷波山 彫刻を学び陶芸の道へ。中国の古陶磁に学ぶ。造形はロクロ師を雇い、自らは図案を作り模様の加飾をした。 |
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富本憲吉 図案科(デザイン)出身。朝鮮陶磁に学ぶ。自分でロクロを挽き、文様を創り、すべてを自分の手で行う。 オリジナリティーの大事さを強く主張した。 前田先生 自分は古いものは手本にしないが、ヘタ・ウマの元祖として富本を尊敬している。 |
オブジェ対決 林康夫×八木一夫
イメージでタイトルをつける。作り手の意識はオブジェ(非実用)だが、前衛華道家にいずれも花器として使われている。林 康夫 1948年作「雲」手びねり成形。 八木一夫 1954年作「ザムザ氏の散歩」ロクロ成形。 前田先生 地方育ちの自分は、「芸術新潮」で八木一夫を知った。陶芸以前に1番初めに興味を持った作家だ。
土偶対決 立像土偶×中空土偶
現在陶産地は西の方が多いが、土偶は長野より北で出土している。人類陶芸の始めは東日本からといえる。立像土偶 縄文中期。現代にも通じるプロポーションは、土塊を削り込んで形にした結果生まれたもの。 中空土偶 縄文後期。中は空洞。やきものの基本、割れないためには中空である必要を知る。 色絵対決 前田正博×井戸川豊
九谷→富本憲吉→藤本能道へとの色絵具の系譜で学び、花鳥風月の具象絵付に危機感を感じている色絵磁器作家。前田正博 芸大陶芸10期。白い素地という磁器の伝統を越えて、素地を色絵で覆い隠す。上絵洋絵具・金・銀を幾重にも塗り焼き重ね、その工程の積み重ねが作品の奥行になっている。 井戸川豊 芸大陶芸26期。磁器のキッチリ カッチリとした硬質感を敢えてやわらかく表現する。モチーフが貝割れ大根等 身近な野菜であることが新鮮で、同時代を生きているものに共感を与える。 前田先生 自分はロクロ水挽きし、六角に変形。面取りし白磁で焼き上げてから、上絵の黒で焼く。次にテーピングをし、赤・金・銀など数回にわたって上絵付している。
具象対決 杉浦康益×大江志織
杉浦康益 60代。石を型取りしてやきものにしたり、リアリズムで徹底的に作り込む。一輪のひまわりの種だけで10000個など。大江志織 30代。女性の身体がモチーフ。フォルムとしてかわいく、洗練されている。磁器を無釉で焼くという技法に若さを感じる。 水玉対決 中島晴美×佐々木文代
手間ひまかけた同じモチーフながら、扱い方が違う作家。中島晴美 美濃の産地の技術、青い水玉の転写シートを貼っているオブジェ。大阪芸大、師は前衛二世代の柳原睦夫。 佐々木文代 器に、カットした丸でマスキング。品格がある。東京芸大、島田文雄が先生。 前田先生 片や良い意味で自己中心的作家、佐々木さんはいたって謙虚。
若手対決 五味謙二×和田 的
ふたもの独特の楽しさのある二人。五味謙二 大学のサークル活動から始まって、瀬戸・多治見・沖縄で経験を積んでから美濃に仕事場を持ち、小さな窯で1つずつ焼いている。プロフェッショナルの世界では磁器が多い時代に土もので勝負している。 和田 的 削るという磁器の特質を活かした仕事。作品は2~3ヶ月かけてゆっくり乾かす。待ち時間というのも、やきもの制作プロセスの大事なところ。 前田先生 五味さんにはオブジェじゃ売れないからふたものにしたらどうかとアドバイスした。
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現代陶芸、器でもオブジェでもやきものとして成立させるには、“土で形を作り焼く”、基本的には縄文の時代から同じ。自分で仕事場を確保するのは大変だが、学校で陶芸を学ぶということは、産地内状況で完結せず広い視野から陶芸を見ることができるということ、総じて、現代は作家の数だけ表現があるといえる。
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講演会に続いて理事長の挨拶で懇親会開会。相談役 島田文雄先生(東京芸大陶芸科教授)に乾杯のご発声をいただきました 。 | |||||
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引き続き授賞作品の発表。各作品に審査員からコメントをいただきました。 その後は来場者の皆様による人気投票の集計結果発表。 |
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左より 杉浦康益・外舘和子・前田正博 宮城 真 各先生 |