2023年11月24日
2023年度 日本陶芸倶楽部 アマチュア作品展
陶芸を通して日本の文化に触れていただく秋の文化祭「アマチュア作品展」。
両日とも好天に恵まれ、多くの方にご来場いただきました。
当倶楽部会員162名による 陶芸部門・日本画部門合せて204点の力作の鑑賞と、
手びねりや電動ロクロでの作陶体験、
4年ぶりとなるお茶席でのお菓子とお抹茶一服などお愉しみいただきました。
展示
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会場入ってすぐの展示台には、来年の干支をテーマにした様々な龍の作品がその雄姿を競っていました。
人気投票は悩みながらもお気に入りのやきもの3点、日本画1点をお選びいただき、投票後の抽選では恒例のやきものプレゼントに加え、40回を記念して教室公開講座の作陶チケット40枚プレゼントもあり、盛り上がりました。 |
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作品審査
2023年度審査員 |
陶 芸 部 門 |
谷本洋・星野友幸・栗原直子 |
日本画部門 |
滝沢具幸・宮城真 |
(敬称略) |
審査員の先生方にはじっくりと時間をかけて作品をご覧いただき、合同審査にて各賞をお選びいただきました。
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陶芸部門合同審査 |
講演会・受賞作品発表授賞式
伊賀を拠点にご活躍の陶芸家谷本洋先生には演題「作為と無作為の界」でお話いただきました。講演に続いて、受賞作品の発表を行い、審査員の先生方から作品についてコメントをいただきました。
受賞作品と審査評はミニギャラリーページでご覧ください。
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最優秀賞の授与式 |
谷本洋先生講演「作為と無作為の界」要約
伊賀焼は信楽焼と似たイメージを持たれているが、桃山時代の両者は大きく異なる。
粘土は信楽は蛙目系、伊賀は木節系や黒蛙目の水簸されたきめの細かい土で窯の焼く温度も雰囲気も異なる。
また最初信楽は半農半陶で甕や壺など生活用品が多く見立てとして用いられたが、伊賀は初めから中国の殷・周時代の青銅器の形を参考にして耳や擂座付の花生や水指といった茶陶がメインとして作られていた。
欠けや破れの造形や伝世品の少なさから、父(故谷本光生先生)や私は、数名の渡りの職人などが定期的に、古田織部や他の武将や数寄者の意向を細かく汲みながら少数ずつ作っていたのではと考えている。破れには武将ならではの精神性が感じられ、窯詰めや窯焚きの意図的なテクニックの存在があったように思える。
師である父からの教えは「作品は人なり」と、松尾芭蕉の言葉「古人跡不求 古人求所求」の二つ。自分を磨くことが大切で、それが作品に還元される。また昔の表面的な技術よりその時代の必然性を追い求める事が重要。
作品制作や鑑賞は視覚だけでなく五感を使う。さらにどこでどう使われるかまで想像すれば皆さんもきっと良いものが出来る。国宝茶碗(国焼)二つの内一つはアマチュアの作品なのだから皆さんの作品も…(笑)プロが作品に入れ込み過ぎてしまう技術や情報、作為と無作為の界がそこにある。自分もその両端の間でどこにいるのか常にチェックし続けている。
そして守破離の精神で学び、いつも実験し、現代の必然性に辿り着くよう自分のスタイルを作っていきたい。
もう一人の師アルチガス先生の元でのスペイン生活は、西洋のブレずに続ける事での良さを知ると同時に、各工芸が広く繋がっている日本の伝統芸能や伝統文化のすばらしさを実感した。
現在自らの海外ワークショップには、茶・華・料理・書を伝える事で陶芸に広がりが出来、日本の良さを世界に伝えるべく活動している。