2010年12月16日
平成22年度 日本陶芸倶楽部アマチュア作品展
まさかの台風に見舞われた 本年のアマチュア作品展。
それにもかかわらず 多くのお客様に
会員232名、267点の力作の観賞、作陶会・茶会と
芸術の秋をお愉しみいただいた2日間でした。
会場に並ぶ力作の中から、陶芸作品3点、日本画1点をお選びいただきました(人気投票)。
各日、「茶陶」・「登窯」・「加飾」 、そして「質問の多かったもの」と、テーマ別に行った列品の解説は、たくさんの方々が熱心に聞き入って下さいました。
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以前 講演・審査・作陶指導等をしていただいた 滝口和男先生(左写真)、木村久美子先生(右写真)が今年も作品展をご覧下さいました。 |
出光昭介会長 |
中村卓夫先生 |
島田文雄先生 |
竹内順一先生 |
合同審査風景 |
作品審査は2日目の午後行われ、各賞が決定しました。 |
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作陶会場では、初めて・リピーター 様々な方が、
手びねりまたは電動ロクロでの成形、絵付、ロウソク 照明器の加飾と、思い思い愉しまれました。 |
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加飾 | 絵付 | 電動ロクロ成形 | 手びねり成形 |
流派を超えた会員有志によるおもてなし、会員手作りのお茶碗で、お抹茶一服。茶室で、立礼席で、日本の伝統文化「茶」をお愉しみいただきました。
作品展の締めくくりは 講演会・懇親会。場所を南国酒家に移し、まずは中村卓夫先生による講演会。「器になるコトをやめたうつわ」をテーマにお話しいただきました。
中村卓夫先生
「器になるコトをやめたうつわ」要旨
<変わる伝統>
数年前に21世紀美術館が出来て以来、伝統の町 金沢も、その影響で少しずつ変わり、動きはじめている。
ここで開催された第1回金沢世界工芸トリエンナーレでは、展示場はビニールハウス、カーペットを畦道に見立て その道筋に収穫物として作品を並べた。デザイナー佐藤卓の「茶箱」は、通常の機能性を無視して100%を中心に5段階のパーセンテージだけが提示された。
やきもの・竹・木・金属と、それぞれの作り手は同じ形でパーセンテージに従い5つ作る。その中から使い手がそれぞれ自分の見立てで選択して組み合わせるというもの。アートと工芸の境界をとっぱらって その先に新しい工芸の可能性を見つけようと……。
数寄の解釈も今風に取り直してゆくことで、新しい工芸作品が見えてくる。会期中イベントのひとつとして、「みずの茶会」でもてなした。庭に土壁を作り 床の間に見立て、その壁に柄杓で水を掛ける。水で濡れた様を花に見立てる。水も茶碗もチンチンに冷たくして茶を点てる。今年の5月は暑かった。みずが暑い中涼を呼ぶ。
<自分の仕事の流れ>
サラリーマンをやった後でこの道に入ったが、同業者三人の家族の中で 自分の道を見つけるのは難しいことだった。あるときふと 彼ら家族は 作ってはいるが 壊していない、と気づいて 自分の道が見つかった。
土塊をワイヤーで切ったり 壊していく中で生まれる 見つかる形、土が勝手に動いて出来る形、それをそのまま使う人 見る方に提供して、使い手と自分との間に新しい関係が生まれてくるだろうと考えて制作している。
「ぎりぎりうつわ」「すりぬける器」「浮遊する器」等々 器を進化させているうちに、用をまとう器であることに苦しくなって、器であることをヤメた。オブジェと器の中間にあるもの、使う人のアイディアで器になる。それが「器になるコトをやめたうつわ」、一番新しい作品のタイトルとなった。
<琳派卓夫流>
自分の中で参考にしてきたのは、光悦-宗達-光琳 の仕事。主役人物を省略して物語を伝える絵、文字を入れるスペースをあける構図、空間を切り取るための装置「屏風」が二つで完結する 等、装飾美術としての琳派の作品を自分なりに解釈して作品にする。
<ウエッジウッドの仕事>
250年を経たウエッジウッド(ジャスパーウエアに代表されるイギリスの名窯)がシンメトリーで表現してきたことに限界がきて、これを打ち壊すのは日本のアーティストだ といろいろ探した結果、卓夫に白羽の矢が立った。使う人が自由に解釈できるものを作っているという点でウエッジウッド側が卓夫に的をしぼったのだろう。
紆余曲折があって英国へ渡った。そこには昔の通りの技術で昔のままのものを作るセクションがあって、そこで切ったり 落としたり ぶつけたり で生まれる形をと 仕事を始めた。土塊を落とした瞬間に拍手をもらい、美意識を共有出来るという感じを得、一緒に仕事が出来ると思った。茶道・華道・書道 三種の器を作った。
講演会に続いての懇親会。本年は審査員の先生方に加え、染付の朝岡弘美先生、粉引の吉村昌也先生をゲストに迎え、それぞれの卓を囲んで大いに盛りあがりました。授賞作品の発表後は、受賞作品を前に陶芸談議に花が咲きました。
朝岡弘美先生(左から2番目)
吉村昌也先生(中央) |
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