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2010年12月16日

平成22年度 日本陶芸倶楽部アマチュア作品展受賞作品一覧

審査総評
年々技術は高まり、色も賑やかになり、だんだん作品が成長している。
皆の想いがにじみ出ている作品にたくさん出合った。    島田文雄

陶芸部門  本年度審査員 出光昭介・竹内順一・中村卓夫・島田文雄・栗原直子
(敬称略)
最優秀賞
 
堀田恭子「森の黄葉 ⅠⅡⅢ」 径26.0×高1.5cm 3枚
堀田恭子
「森の黄葉 ⅠⅡⅢ」
径26.0×高1.5cm 3枚
いろんな作家がいろいろに表現している練込を、誰よりもまったく新しい表現手段で作品に仕上げて素晴らしい。文句なし!!
中村卓夫
かねてより練り込み技法を使って秋を表現したいと願い、秋の色として利用可能な多種の色土の制作を試みました。その結果数種以上の異なった黄色の色土を作ることが可能となり、この作品が生まれるきっかけとなりました。
刻々と変化する黄葉の色付きを秋の表情のひとつとして捉え、私独自の作風である練り込み・象嵌技法によって秋の表情を3枚のお皿に纏めました。模様の複雑化に対応して色土の選択にも工夫をこらし、模様・色彩に細心の心配りをし自分らしさを表現したいと心掛けました。
予期しないほどの高い評価をいただいた今回の受賞に感謝します。
堀田恭子
優秀賞
谷中耀子 「パラレルワールド」本体 径36.0×高36.0cm 星 径11.0×高8.0cm~径15.0×高10.0 4ヶ
谷中耀子
「パラレルワールド」
本体 径36.0×高36.0cm
星 径11.0×高8.0cm~径15.0×高10.0 4ヶ
非常に意欲的な作品で、自分(作者)のオーラが出ている。
島田文雄
パラレルワールド。古くからSFの世界では、今私たちがいる宇宙とは別に無数の宇宙が平行して存在すると言われています。新たな谷中ワールドはこのパラレルワールドをテーマに想作を開始しました。
谷中耀子
奨励賞
許斐順子 「蓮図彩磁飾皿」 径36.0×高4.5cm
許斐順子
「蓮図彩磁飾皿」
径36.0×高4.5cm

(本年4月29日 特別講師による講演と実技の会で) 草花のスケッチから、彫り、着彩と1日で指導したものから、更に発奮してここまでやった努力は称讃に価する。     
島田文雄
スケッチブックを抱えて出たその日、蓮田は夏の明るい日差しに輝いていました。彩磁の技法を教えていただき、そのイメージを皿に映してみました。新しい手法を学ぶ事はとても楽しいもので、本焼上りを待つ間の気持ちは、いつも以上にどきどきわくわくいたしました。思った以上の出来映えに喜び、感謝をすると同時に、色彩の変化や構図の奥行き等々、まだまだ勉強の余地ありとも感じました。この経験を次回に活かしたいと思います。
許斐順子
技能賞
林健二郎「香炉三作」左 径11.5×高14.0cm 中 径13.5×高17.0cm 右 径11.5×高17.5cm
林健二郎 「香炉三作」
左 径11.5×高14.0cm
中 径13.5×高17.0cm
右 径11.5×高17.5cm

成形(二重構造)、加飾(緻密な透彫り文様)、施釉(青磁釉)、と どの工程も技術的に難しいものを良くまとめ、完成度の高い作品となっている。
栗原直子
分不相の賞を頂き、当惑しております。技量をわきまえず香炉に挑戦しましたが、まず形が大き過ぎて失敗、内側と外側がくっついて失敗、穴の数(108個開けるつもり)が少な過ぎて失敗、飾りのライオンがとれて失敗、次に半磁土に挑戦しましたが、穴を開ける過程で外側が陥没して失敗、内側にひびが入って失敗、締切りでやむなく出品しましたが、出品後も7個目を作り続けているところです。
林健二郎
谷川徹三賞
山内薗子「ルーマニアのたまご」縦17.0×横22.5×高3.5cm 6枚
山内薗子
「ルーマニアのたまご」
縦17.0×横22.5×高3.5cm 6枚

伊羅保釉を 楽しんで好きなように自由にまとめている。大きさも模様も良い。
竹内順一
思いもかけない、素敵な賞を頂き驚いております。陶芸を習い始め、だいぶ長いのですが、常に、自由な発想で作陶をして自己満足しておりました。何時もの様に、何気なく図案集を見ていたら、この卵のペイント柄、ルーマニアの卵の図案がありました。土・釉薬・胆礬と鉄、それに大事な窯の力によって、自分の想像していた以上に出来上がっていて大変満足でした。釉薬により胆礬の発色がこんなに違うか等、作陶の難しさを今更ながら感じました。出来上がる作品を見る時は、いつも心配と、楽しみが有ります。
山内薗子
耳庵賞
岡 俊男「アニメ元祖鳥獣戯画」 縦17.0×横17.0×高4.5cm 10枚
岡 俊男
「アニメ元祖鳥獣戯画」
縦17.0×横17.0×高4.5cm 10枚

誰でもが知っているモチーフ(鳥獣戯画)を写していながら、コピーでなく 志野・黄瀬戸・青磁など 絵でなくやきものの表現になっている。
中村卓夫
耳庵賞受賞の報に一瞬耳を疑いました。ここ数年上絵付教室で楽しんでいましたが、12年前の入会時を振り返り、鳥獣戯画を題材に陶芸の原点に戻ってみようと取り組みました。日本陶芸倶楽部初代会長の賞を頂き、松永翁ご出身壱岐の「松永安左エ門翁」と銘する麦焼酎で先ずは乾杯!
岡 俊男
特別賞
宮坂俊夫  「心とまよい」 茶碗 径16.5×高7.0cm 茶杓 縦20.0×横1.0×高0.5cm
宮坂俊夫  「心とまよい」
茶碗 径16.5×高7.0cm
茶杓 縦20.0×横1.0×高0.5cm

伝統ある茶道具を新しくするのはすごく難しい。その茶道具のあり方をなんとか新しくしよう、何かしようという意欲に感動した。
竹内順一
白茶碗は「心の真・善」を意味します、歯車巴高台の懐から泉の様に心が湧き上がります、そして歯車により心はめくるめく揺らぎ、やがて黒い迷いは心を取り巻き止まることのない無限の軌道を走ります、しかし心は常に白くきっと悟りの一服が頂けるかも知れません。従来の茶碗は、形は有りましても表面上だけのこと、それに飽き足らず表面を飛出し立体的な三次元の心を表現することで、作品の表現は単語だけに止まらず「文章を作品にすること」が出来たのでないかと思います。
宮坂俊夫
会長賞
和氣典二  「鳴海織部茶碗」 径11.0×高9.5cm
和氣典二
「鳴海織部茶碗」
径11.0×高9.5cm
茶碗は 姿・形もさることながら、何より手取りの良さが大事。(これは)ロクロ水挽きではなく手びねり(紐作り)で、良く出来ている。
出光昭介
アマチュア作品展に何を作るか考えていたところ、あるとき、利休の弟子であって、武将であった古田織部の話題になった。そこで、織部を制作することにした。今回鳴海織部と黒織部の2点を制作した。本人としては黒織部の方にひかれましたが、結果的には鳴海織部が受賞対象となり、あれーという思いをしました。はじめての茶碗制作が会長賞をいただくことになり、大変恐縮しております。
和氣典二
NHK厚生文化事業団賞
小堺ひとみ 「踊る燭台」左 径18.0×高23.0cm 中 縦16.5×横26.0×高2.5cm 右 縦19.0×横26.5×高20.0cm
小堺ひとみ  「踊る燭台」
左 径18.0×高23.0cm
中 縦16.5×横26.0×高2.5cm
右 縦19.0×横26.5×高20.0cm
最初に私が選んだ 今回の作品の中の傑作のひとつ。自由で楽しく、技術的にも優れている。
竹内順一
この作品は、「踊る燭台」を作りたくてできた訳ではなく、結果的にあたかも「踊る燭台」になってしまったものです。構想の中での土の試作は図面どおりどのような形にもなりました。しかし、焼成という工程を素人は理解しづらく、作りたい物を思うように焼成できなかった作品でした。結果的に燭台はまさに「踊る燭台」になりましが、これが土と釉薬と火と遊ぶという事であれば、とても嬉しい受賞です。
小堺ひとみ
毎日新聞東京社会事業団賞
田口葉子「キャンディーポット」 径10.0×高11.0cm~径8.5×高16.5cm 5ヶ
田口葉子
「キャンディーポット」
径10.0×高11.0cm~径8.5×高16.5cm 5ヶ
素人のイメージ、かわいらしさがすごく出ている。配色も良く 初々しさを感じた。
島田文雄
誰もが知る童話を題材に陶芸作品を仕上げました。私の心の内に存在する幼い頃から持ち続けている果てしない想像の世界は、今でも色褪せることはありません。この作品をご覧になった方々と、そのような不変の感性を共感できたら幸いに思います。誰もが心に持つ「大切な気持ち」をふと感じられるような作品を、これからも作っていきたいと思います。
田口葉子
日本画部門  本年度審査員 滝沢具幸・宮城 真
(敬称略)
優秀賞
池田恭子「ノスタルジー」縦30.5×横37.0cm 4枚 縦37.0×横30.5cm 1枚
池田恭子
「ノスタルジー」
縦30.5×横37.0cm 4枚
縦37.0×横30.5cm 1枚
岩絵具の可能性を探して、一枚一枚 様々な技法を試み、美しくモダンな作品に仕上がった。
宮城 真
夕方の空は、色彩の美しさや雲の動きに目を奪われ、くぎづけになります。そしてその向うには遠くにいる人への想いが静かに漂っていたりして、その時々の心境を写しだす鏡のようです。本画制作では、最初の感動を忘れず、再構築していくことが難しいと常々感じています。今回、岩絵具が水の動きによって自然な形態のできていく過程が興味深く、わくわくする様な場面が幾度もあり、貴重な体験になりました。
池田恭子
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